現代の日本社会において自由の効かない生活習慣

一向に振るわない業務

襲い来る上司に主任


そして芯が脆弱になった自尊心。


その全てが自分の意とは関係なく自動的に布石として置かれてしまっている。

気がつけば人は、幾度となく積もりに積もったストレスとメランコリアの塊と姿を変えていた。

その重圧と悪気を帯びた心はいつしか


この世に、『あやかし』を呼び起こす要因となりうるには容易く、打って付けの環境だった。


時は平成、世は安寧に満ちた東の大国、日本。

そこに出づるは戦乱の世に数多の戦を手に取り、惜しくも天下統一を果たす事なくこの世を去った武将「織田信長」の孫の従兄弟の息子、その名を「織田音鳴」と申す。


彼は死後妖怪として転生、信長公の威光を借りて次々と妖怪を従えたのである。

数々の妖怪を従えた音鳴。

仏より承った「人間と妖怪との繋がりを取り戻す」という使命。


百鬼夜行を蘇らせてまで彼が行う事とは一体……?

妖怪について

人の鬱憤が集う街は妖怪にとって、とても潜みやすい場所。

妖怪は実はほんの少し臆病である。故に、貴方の目の前に現れる事はないであろう。

しかし姿は見えずとも、貴方の事を陰からじっと見つめている。今も、ずっと。


時に妖怪は貴方を脅かす事だろう。

それは朝起きた時、用を足している時、外を歩いている時、路地裏やトンネルをちゃっかり通ってしまった時……

しかし疲れたあなたを暖かく癒す事もしてくれるだろう。

改札を抜けた時、お店に入った時、家路を歩く時、眠る時……


その時初めて貴方は、自分に密接な何かを感じる事だろう。

妖怪は人を吃驚させるだけが仕事ではない。それは貴方達人間の偏見でしかない。


「楽しませる」・「面白いと思わせる」・「緊張を解かせる」


妖怪は常々、人間に笑顔と暖かい心を取り戻すよう仕掛けてくる。


それは、人間の心に住まう「妖怪」を持ち帰る為だ。